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(モーリシャス沖の座礁事故)保険でどこまでカバーされるのか

保険コラム

モーリシャス沖で商船三井が傭船契約をしていた長鋪汽船の船が座礁して重油が流出。絶滅危惧種の多い自然豊かな海が油まみれになり、いまや世界中で大ニュースになっています。

とまぁここまではみんな知っている情報でしょうから、ここから先、一応損保社員として保険がどうなるかについて簡単に解説します。といっても船舶系の保険は扱ったことがないので、あまり詳しくはないですが。

1.賠償責任保険

今回の事故で全面的に責任を負うのは長鋪汽船です(あと、船の乗組員)。んで、ニュース記事を調べますと、この会社は『日本船主責任相互保険組合』にて、賠償責任保険に加入しているようです。そのため、モーリシャスの負った損害はこの保険で支払われます。じゃあ保険があるから大丈夫かというと、そうではなく2点問題があります。

①賠償責任限度額

外交船の責任限度額は、世界的な法律によって決まっています(船の大きさによって違う)。そのため、その金額までしか賠償責任は無いのです。今回の事故により、経済(観光、漁業)、油の除去費用(それにかかる人件費など含む)、損害の拡大防止費用、逸失利益、自然を基に戻すための費用などなど、いろんな費用が掛かっています。総合計すれば100億近く行くんじゃないですかね。ニュース記事によると、当該船の大きさだと19億が限度額になるんじゃないか…とのこと。

②保険金額

船舶の賠償責任保険は限度額が設定されます。自動車保険みたいに無制限ではかけられません。はたして限度額はいくらでセットされているのか。。あたりまえですが、限度額以上は支払われません。

2.船体の保険

船体が真っ二つに割れているそうですが、その船体にも保険は掛けられているはずです。これは上記賠償保険では支払われません。予想ですが、これは大手損保で付保されているものと思います。メガ損保で共同で引き受けているかと(金額が大きすぎて一社では受けられない)。

これも保険が入っているから元通りのお金がもらえると思ったら間違いで、保険で支払われるのは時価額までです。つまり、新しく船舶を購入しようとすると多額の持ち出しが発生する。

3.休業補償

船体が使えない間、長鋪汽船は収益が入ってきません。これにも保険がかかっているものと思います。これもメガ損保が引き受けていると思います。

ただ休業補償保険は、免責期間や限度日数が決まってますので、保険があるから大丈夫とはなりません。

4.さいごに

ネット上で、「今回の事故は保険があるから、お金の面では誰も困らない」といったコメントが散見されますが、保険ですべてがカバーされるということはないですよ。あえてお客様にも負担させることによって、事故防止の意識を植え付けているのです。そして今回保険を使うことで更新後の保険料は跳ね上がります。

つまり今回の事故により、モーリシャスはもちろんのこと長鋪汽船も経済的に大ダメージを受けるはず。。


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